君の上にはただ花ばかり

6月14日、祖母が天国に旅立ちました。

私が小さかったころ、子ども会で三つも四つもお手玉を軽々操る祖母の姿に、「私のおばあちゃん、みんな見て!」と誇らしく感じたことをよく覚えています。
私が大学受験のために東京に滞在していた時、私の好きな大きな葡萄を送ってくれたこと。
大学に進学して名古屋で下宿を始めたころ、当時の大きな携帯電話で祖母と話したこと。
カナダの短期留学から帰った私を抱きしめてくれたこと。
祖母が福祉施設に入る前、三重県長島町にある観光スポット「なばなの里」に家族で行き、色とりどりのイルミネーションの中を、手をつないで歩いたこと。
元気なときは、福祉施設から連れ出して、私の夫と一緒に、うなぎとビールを食べに行ったこと。

本気で怒ったこともぶつかったことも、今となってはすべてがきらめいていることに驚いています。介護をしていた父、嫁の立場であった母の背中を思うと、「自分と祖母の関係は何と呑気なものだったか」と、愕然とするのですが、それでも最期の状況で寂しげにしていた両親の姿に、少しホッとしたりしています。

納棺師の三名の女性たちに身支度してもらった祖母。
お別れの儀式にあって、出棺はいつもいつも一番辛いものですが、菊、ガーベラ、百合、蘭、たくさんのお花に囲まれた祖母は、本当に綺麗でした。「君の上にはただ花ばかり」という、スペインで生まれた、気が遠くなるような芳香と光を感じさせる、美しい詩を思い出しました。

手足の長い西洋人の、優雅な社交ダンスを知っている人でした。
おしゃべり、マカロニグラタン、原節子、オードリー・ヘップバーンを愛した人でした。明治に近い大正生まれ、昭和、平成、令和の時代を生きた祖母。
気位が高いのか、「ごめんなさい」はあまり言いませんでしたが、「有難う」は誰に対しても、よく言ってくれました。

日本に帰ることなく、戦地で天国に旅立った祖父。祖母は再婚もせず、ずっと祖父と会えるのを待っていたのでしょう。長かったね、やっとゆっくりデートできるね、おばあちゃん。
祖父の命日は、6月16日。そして、祖母の出棺もまた、6月16日でした。

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思い出食堂特別編集「やっぱり懐かしい味」

11月5日発売の「思い出食堂特別編集 やっぱり懐かしい味」に
10ページ描かせて頂きました。

クリスマスの思い出といえば、友人や高校の先生と過ごしたことが多く、
教会のミサ後に頂いたお菓子、聖歌隊で歌ったクリスマス・キャロルなど
幸せな思い出にひたりながら、描くことができました。

四角いケーキは、なかなか自分のイメージに合うものがなく、
大きなスポンジをアマゾンで購入し、クリームを塗ったり缶詰のフルーツを
はさんだり、あまりの大きさにケラケラ笑いながら写真を撮りました。

ふだん離れている家族を呼んで皆で食べ、それもそれでいい思い出になったと思います(^^)

どうぞご覧ください!Facebooktwitterredditpinterestlinkedinmail

「出張!思い出食堂〜漫画家大集合」2食目に参加しました

去る11月10日(土)に大阪で行われた、「出張!思い出食堂〜漫画家大集合」2食目に参加しました!

前日、三重では雨が降っておりましたが、翌日には上がりまして、いい日和となりました。
これも読者様、関係者の皆様の日ごろの行いがよいおかげでしょう(^^)

計10名の漫画家さんによる、過去に描いた作品の苦労話、ボツになった案、失敗談(私)などが、それぞれ語られました。

描きたいメニューが何処にもなく、ついにあきらめてたまたま入ったお店で出会えた話、
(天宮ケイリ先生)、お料理の再現のために通常使わない調理器具を買うところから始めた話(治島カロ先生)、自衛隊の缶詰はあるけれど、自衛官の皆さんはカップラーメンがお好きな話(川田あきふみ先生)…など。

それから全員による「うま絵対決」。「おにぎり」のお題で5名、「ハンバーガー」のお題で5名の漫画家さんたちが即興で絵を描き、その中での一番をお客様の拍手で決めるという企画。ラストは青菜ぱせり先生、つるんづマリー先生、治島カロ先生が「たこ焼き」を描かれ、治島カロ先生が見事に勝利を収められました。いやいや、皆様、5分という持ち時間で、本当にお見事に描かれてました…!(絵がなくてすみません…)

イベントが終わってもなんだか興奮冷めやらぬ私、感謝を込めて、ご参加の先生方へのご感想をしたためたいと思います。

【青菜ぱせり先生】
なんといってもベテラン!東京のイベントでも感じましたが、長くアートの世界に身を置かれている方は、特別なオーラというか、凄みのようなものを感じます。なかなか公には出られないとのことで、お越しのお客様には喜んで頂けたと思います。それなのに気さくな方ですし、名作「朝ごはん亭」のお話中に「あれ?私の作品…何だったっけ?」と記憶が飛んでしまわれたのは、私のような下っ端にとってむしろ安心してしまう一幕でした。

【治島カロ先生】
初めてカロ先生の作品を拝読したとき、「何て素敵な絵なんだろう…」と衝撃を受けたのですが、その『思い出食堂シリーズ』での第一作目となる朝ごはんのご紹介をされて、じーんとしておりました。カロ先生はとにかくカッコいい方で、初めてお会いしたときは緊張のあまり「あわわわ」となってしまいましたが、まさか壇上でご一緒できる日が来るとは、幸せ以外の何ものでもありません。

【天宮ケイリ先生】
絵柄も可愛らしいですが、ご本人はそれ以上に朗らかで、明るくて、キュート!イベントの直前にオリジナル缶バッジを作って販売されるなど、お仕事が速い上に、他の方々へのお気遣いも忘れない素敵な方でした。ますますもってファンが増えたことと存じます。お優しくて行動力があるがゆえに、漫画の材料集めで苦労されても、最後には幸運の女神様の前髪をつかめるのだろうと、感じ入った次第でございます。

【つるんづマリー先生】
つるんづ先生も初めてのお作品を拝読したときから、そのトキワ荘的なノスタルジックな画風、圧倒的な漫画の技量に、ため息が出るばかりです。さらさらと描かれるイラストの完成度はともかくお見事でございました。思い出食堂編集部も、つるんづ先生の漫画が大好きなんだろうなぁと思います。私はつるんづ先生の描く女性が大好きで、このイベントもきっかけにして、女性ファンが増えると嬉しく思います。

【華麗るう先生】
結婚式の司会者というキャリアをお持ちのるう先生、あの日の舞台は彼女のものでした。弁士のごとき流麗な語り口調、「トークイベント」という場にあって、頼もしいことこの上なしでした。そして私にとって最も印象的なお作品、「シーフードカレー」のエピソードも伺えて感無量でした。初対面にもかかわらずとても温かく接してくださって、るう先生のお陰で心から安心できたのは、私だけではなかったはずです。

【川田あきふみ先生】
なんとなんと、もと自衛官というご経歴をお持ちの川田先生。それにからめた、自衛隊の缶詰のエピソードは、まさしく「漫画の制作裏話を聞ける」というイベントの趣旨にふさわしいものであったと思います。最後の先生方の「うま絵対決」ではカロ先生のおにぎりが見事に勝利されましたが、川田先生のおにぎりもそれに迫る勢いだったと思っております。ちなみに自衛官といってもガッチリというよりは、シャイな青年という印象です。

【斉籐ふみ先生】
優しくて温厚な絵柄が魅力のふみ先生、ご本人もお優しくて温厚で、何より事務仕事一切を引き受けてくださって、もう感謝しかありません。どんなお仕事でもイベントでも企画でも、事務方がしっかりしていないと破綻するんですよね。お忙しい中、本当にお世話になりました。もはや眼鏡っ子は思い出食堂イベントのアイコンですね。今後もファンが増えることと信じております。

【チャーミングじろうちゃん先生】
東京でのイベントに引き続き、じろうちゃんのプロフェッショナルの姿は健在でした。マイクで話していると、思いがけないところでツッコミが来るんですね。そこから思いがけない展開も生まれるんですね。テレビの外では味わえない、プロの芸人さんからのツッコミは、なかなか刺激的というか、ちょっとできない体験です。そういう経験からも生まれるであろう漫画作品、迫力があるなあといつも思います。

【なかむらみつのり先生】
この方なしにはあり得なかったイベントですよね。交友関係が幅広く、行動力があって、面倒見がよくて、こんな頼れるお兄さんに今回拾って頂いて、私は本当に幸せでした。編集部もイベントの実現にはびっくりされているんではないでしょうか。なかむら先生のお作品も、足でガンガン稼いで漫画にフィードバックされていて、やはり外に出かけることから始まるのかなと、改めて学ばせて頂きました。

この2枚はなかむら先生から頂きました(有難うございました)

ご来場の皆様、お忙しい中、また貴重なお休みにも関わらず、お運びくださいましたこと、演者の一人として心よりお礼申し上げます。本当に、どうも有難うございました。またいいご縁を頂ければ本当に嬉しいです。Facebooktwitterredditpinterestlinkedinmail